

ドイツワインを購入する時、一体何を基準に選べば良いの?と思われますよね。土壌がとか葡萄の出来がとか?そこで安心して高品質ワインを選ぶ指標として、鷹に葡萄のマークがシンボルの生産者団体「VDP(ドイツ・プレディカーツワイン生産者協会)」をご紹介します。ドイツワインの売り場で迷ったら、このマークを目印に購入する事をおススメします!
このページでは、難しい言葉や専門用語を使用せず、かみ砕いた解説をしていきますので是非ご一読いただけたらと思います。また私の個人的見解を元に記事を書いておりますので、専門的な記事をご覧になりたい方は、VDP公式ページをご覧ください。ドイツ語と英語でお読みいただけます。
VDPとドイツワイン法とは異なりますので、ご注意ください。新ドイツワイン法についてはこちらで詳しく解説していますので、ご興味のある方はど一読ください。
VDPとは?
VDP(ドイツ・プレディカーツワイン生産者協会)は高品質ワインの生産者で構成されるドイツ国内において最も歴史ある団体で、ワイン生産者の中でもエリートクラスに属するワイナリーだけが参加できる協会だと言われています。VDPは、ドイツワイン業界にかなりの危機感を感じ、高品質なドイツワインの復興を掲げて結成されたと言われています。
なによりもこの協会への参加は、ワイナリーが希望しても入会できるわけではありません。詳しい解説は、VDP会員になるには?で解説していますので、そちらをご参照ください。
検査基準はとても厳しく、万が一VDPの基準に至っていない場合は、他農園(ワイナリー)の指導を受けるなど、基準を保つ努力が必要となって来ます。
私もドイツに数年暮らしていて感じたのは、本当に生真面目、悪く言うと融通が利かない!でも消費者としては、厳しい品質基準を守ってくれている!のはとても嬉しいですね。
VDP品質基準の厳しさ
- 葡萄を栽培する畑の質を厳しくチェック
- 畑にあった伝統的な葡萄の種類を選択
- 高品質のワインを生産する為に収穫量を制限(質の良い葡萄のみを厳選)―量より質を最優先
- 昔からの製法でワインを造る
- 必要に応じて天然肥料を追肥する
- 伝統的な品種を主体とする畑造り
- 栽培期間を通じてモニタリングの実施
- 仕上がったワインにも官能試験を実施
VDPに参加し、メンバー資格を維持するためには、上記の他にも厳しい審査がありますので、ドイツ全体のワイナリーの数%のみがこの教会に属していると言われています。
それだけ厳しい検査を受けているだけに高品質ワインを私達に提供することができるのですね。
ドイツワインを選ぶ基準としてのVDP格付け
さらにVDPではワインを基準を4つに分けています。この基準により、ワイン初心者にとってもどれを選べばよいのかが明確になり、ドイツワインのファンが増加したとも言われているようです。

ランクごとの解説
それではここでは一体このランクってどういうこと?と気になる方の為に簡単に解説していきますので、ご自身でワインを選ぶ時の参考になさってくださいね。 解説はピラミッド図上部(トップクラス)からしていきますので、是非ごらんください。
ランク (格付け) | 特徴 |
---|---|
VDP・GROSSE LARGE VDP グロセ ラーゲ | ドイツワインの中で確実にトップクラスのワインだと言っても過言ではないと思います。並外れた葡萄を何世代にもわたって受け継がれた昔ながらの手法と現代の知恵を融合した卓越した品質のワインです。 |
![]() 辛口ワイン | VDP グロセ ラーゲの辛口ワインはVDP.GROSSES GEWÄCHSと呼ばれ、ラベルにはGGロゴが入っていますので、GGロゴで識別してくださいね。 |
VDP・ERSTE LARGE VDP エルステ ラーゲ | ファーストクラスのワインで葡萄の品種・収穫量ともに限定され、よりテロワールを味わう事が出来るワインとなっています。 |
![]() 辛口ワイン | VDP エルステ ラーゲの辛口ワインはVDP.ERSTES GEWÄCHSと呼ばれ、ラベルには1Gのロゴが入っていますので1Gのロゴで識別してくださいね。 |
VDP・ORTSWEIN VDP オルツワイン | このワインは、テロワール(ワイン土壌の特徴・その年の気象条件など)をしっかりと味わうことができます。地域の代表的な葡萄品種のみを使用しています。 |
ワインの豆知識 1:テロワールとは
テロワール:ワインを製造する為の葡萄畑を取り巻く環境の事を総称してテロワール(Terroirフランス語)を呼んでいます。葡萄畑の環境要因は、土壌(地質、水はけなど)・立地(標高、勾配など)・気候(日照、気温、降水量など)すべての自然環境を示しています。熟練のソムリエの方などは、ワインを口にしただけで、このテロワールを正確に言い当てると言われているので、その才能には驚かされます。
ワインの豆知識 2:官能試験とは
官能試験とは、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感でワインの官能評価をすることを言います。それでは簡単に解説していきましょう。私達が飲んだり食べたりする場合は、その都度この五感を活用させていますので、余りむずかしく考えなくても良いのかもしれませんね。
視覚的評価:ワインの色合いと濁りがないかを評価していきます。
嗅覚的評価:ワインの芳香と異臭を評価していきます。ワインの香りを鼻から嗅ぎ、葡萄の香り、ワインの発酵臭、そして製造過程で生成されるブーケなどを嗅ぎ分けるだけでなく、異臭を嗅ぎ分ける事も大切な評価となっています。
味覚的評価:言葉の通り、ワインの味を評価する事を言います。酸度・甘さ・苦味・渋み・異味などを細かく評価していきます。
触覚的評価:味覚的評価で苦味・渋み・辛みなどを感じることを触覚で感じると言われています。
聴覚的評価:ワインをグラスに注ぐときの音、グラスと手にし、匂いを嗅ぐときのワインの奏でる音など全てがワインの味に影響しているのではないかと私は感じています。
これら五感による評価を総合して全体評価をおこなっていくのが、官能試験と呼ばれているものです。
VDPの会員になるには?
VDPでは随時入会希望者を募ったり、誰でも希望すれば入会できると言った安易なシステムは存在していません。
では、一体どのようにしてVDPの会員になれるのでしょうか?
5年~10年と言う長い年月の間、優れたワインを造り続けているワイナリーに対して、先ずは入会の打診をするようです。
一度入会したワイナリーが翌年には、粗悪なワインを造ってしまった場合、速攻で退会させるわけにはいかないのが理由なようです。それだけだけに、入会を打診するまでの前段階として長い年月をかけてワイナリーの畑の状態・ワインの品質を検査しているのだそうです。
では、万が一基準を満たしていないワインを造ったワイナリーがあったとしたらどうするのでしょう?
VDP会員のワイナリーの方にお話しを伺ったところ、先ず最初の年は、助言と注意をおこない、次に他のワイナリーからの指導を受ける事が義務付けられているそうです。それでも改善されない場合は?との質問には、今までそういうワイナリーはいなかったけど、う~ん!これは問題になるね。とのことでした。
VDPのメンバー、優れたワイナリーとしての自負があるから、プライドもあるしね、質の悪いワインなんて作れないよ!と笑顔でお話しをしてくださったのがとても印象的でした。
最後になりますが、ドイツワイン法(新・旧)について記事をまとめてございますので、よろしければ「新ドイツワイン法についてご存知ですか?」もご覧いただけたと思います。